自律神経失調症に悩まされている看護師さんは夜勤の回数に注意が必要
自律神経が乱れて、いろいろな不調に悩まされている。
そんな方が少なくありません。
その中でも、夜勤の多い看護師さんや介護士さんといった方は、特に自律神経が乱れる傾向があり注意が必要です。
今回ご紹介するTさんは、40代の女性。
強い不安やパニックに悩まされ、当院に来院されました。
Tさんは、元ダイビングインストラクター。
海に潜って泳ぐ魚を見たり、自然と触れ合える時間のあるこのお仕事を、Tさんはとても楽しかったと言います。
もともと自律神経が乱れがちだったTさんですが、この仕事をしている時は、非常に調子が安定していました。
ですが、重いボンベを背負ったり、インストラクターとして働くうちに首を痛めてしまいます。
病院では頸椎症と診断され、インストラクターを続けるのが難しく、職を変えることになります。
その後、Tさんは看護助手として働き始めます。
職場は人手が足りてなく、夜勤をすることが増え始めました。
慣れない夜勤が増えることで、睡眠の質が低下し、徐々に悪影響が出てきます。
「睡眠のリズムが変わるので、朝仕事が終わってから寝ても、頭がぼうっとすることが多かったですね」
「しっかり寝てるのに、体がだるい状態がいつまでも続いたり、頭痛が増えました。肩こりとかも以前よりもひどくなっていました」
その頃から、自律神経の不調がひどくなり始めました。
もともとTさんには閉所恐怖症や、のどのヒステリー球といった症状がありました。
かつては安定して良い状態を保っていたこれらの症状は、夜勤が増えるにつれて、悪化していきます。
ちょっとしたことでも不安に襲われるようになり、パニック症状が出るようになりました。
そんな時に、Tさんは家族の紹介で、当院に来院することになります。
問診や検査の結果、お体の状態がかなり悪くなっていることが分かりました。
パニック障害だけではなく、頭痛や首、背中、腰の痛み。鼻炎やアレルギー、倦怠感といった症状にも悩まされていました。
原因の一つ目は、過去に首を悪くしていたこと。
首の状態が悪くなっている方は、首で神経が圧迫を受け、自律神経のバランスが乱れてしまうケースがとても多いです。
二つ目は、夜勤が多いこと。
夜勤が多くなると体にあまり良くないことは、何となく想像がつくかと思います。
ですが、思った以上に、体への悪影響は大きいです。
Tさんは、今以上に夜勤が増えれば、より本格的に体調を崩し、普通の生活にも支障をきたしかねない状況でした。
「職場の方が夜勤を増やしてほしいと要望してきたんですよ」
ただでさえ人手の足りてない職場です。
夜勤日数を増やしてほしい意向もあるのでしょうが、今以上に無理をして負担をかけると、体を壊して今後お仕事ができなくなってしまうかもしれません。
職場との関係性もあって断りづらいかもしれませんが、夜勤の日を減らした方が良いことをお伝えしました。
Tさんの首の状態を治療で良くしていくのに並行して、体に負担をかけている毎日の習慣ついて気を付けてもらいました。
Tさんには首がしんどくなったとき、首を振ったり、ぐるぐると回したり、ストレッチしたりと、楽にしようと動かす習慣がありました。
これらの動きは首のバランスが崩しやすいため、別の体操をお伝えしました。
また、スマホを見方についても、うつむいて首に負担がかかっているため、これも止めてもらいました。
首の状態が良くなり、夜勤の回数を減らした結果、パニック症状をはじめ、キツい頭痛や腰痛、肩こりといった症状もなくなりました。
「夜勤が続くと本当に良くないんだなって分かったので、これからも気を付けます」
人の体は夜に睡眠を取るようにできている
人の体には体内時計と呼ばれる仕組みがあります。
朝起きて夜寝ることは、人の体が持っている本能的な生活のリズムです。
度重なる夜勤や徹夜仕事などで、そのリズムに反し過ぎてしまうと、体に不調が起きやすくなります。
夜勤前に仮眠を取ったり、夜勤明けに普段以上に長時間寝る対策もありますが、帳尻を合わすことはかなり難しいです。
時間帯に合わせて、体は体温やホルモン、自律神経などが調整されています。
夜には寝るのに最適な体のコンディションになっています。
そのため、本来寝る時間以外で長時間睡眠を取っても、とうしても睡眠の質が悪く、カバーしきれません。
当院にはこれまでたくさんの看護師さんや介護士さんが来院されていますが、夜勤が平均して月5回以上になると、自律神経が乱れ、体調を崩される傾向にあります。
およそ4回以下であれば体内時計のリセットが効き、自律神経への影響はさほど出ていませんでした。
なかには夜勤などの昼夜逆転になる生活の影響をあまり受けない人もいます。
もし月5回以上の夜勤をしていて、体調を崩されている方は、夜勤の多さが影響を与えているかもしれません。
ハッキリとした原因が分からないのに、体調が優れない方は、夜勤回数が多くなりすぎていないか気を付けてみてください。
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