なぜ過敏性腸症候群の方は生理の症状をきつく感じるのか?
あなたは、このようなお悩みはありませんか?
- 生理がくると、過敏性腸症候群の症状が悪化してしまう
- 過敏性腸症候群のせいか、生理痛がとても重い
- 薬を飲んでも良くならず、どうしたら良いのか分からない
過敏性腸症候群(IBS)は、病院で腸の検査や血液検査を受けても、炎症や潰瘍といった明確な原因が認められないにも関わらず、下痢や便秘、お腹の張り、腹痛などの症状が現れる疾患です。
慢性化する方が多く、治りにくいのも特徴です。
過敏性腸症候群の方に多くみられる症状が、きつい生理痛や生理不順などです。
過敏性腸症候群の方の28%に、生理について何らかの問題を抱えていると言われています。(『過敏性腸症候群診断ガイドライン2014))
過敏性腸症候群の腹痛や下痢に加えて、生理痛まで加わることで、非常に強い痛みとなって寝込んでしまうような方や、生理周期が大きく乱れることで、強いストレスや不安を感じてしまう方が多くいます。
過敏性腸症候群と生理には、どのような関係があるのでしょうか?
また、どのような対策を取れば良いのでしょうか?
過敏性腸症候群の方が生理に悩まされやすい原因
過敏性腸症候群と生理の問題には、引き起こしている原因に共通点が多くあります。
そのため、過敏性腸症候群の方は生理の様々な症状に悩まされやすくなっています。
1.自律神経の乱れ
自律神経は、交感神経(活動や緊張)と副交感神経(リラックスや緩和)に分かれています。
運動しているときや、ストレスで緊張しているときは交感神経が活発に働き、リラックスしているときは、副交感神経が活発に働きます。
この自律神経が、胃腸をはじめとした内臓の働きを主に調整しています。
そのため、自律神経に乱れが起きると、内臓の働きに異常が起こります。
腸の活動が過剰になったり、働かなくなることで、過敏性腸症候群の症状を引き起こします。
また、子宮周りが緊張したり、血流が悪くなることで、生理痛や生理不順などを引き起こします。
自律神経は脳から背骨の中を走って、全身へと伸びています。
姿勢が悪くなると、神経の出入り口で自律神経が圧迫され、バランスが乱れてしまいます。
最近は、スマホやタブレット、パソコンを長時間使用する方が多く、姿勢が悪くなっているケースがよくみられます。
そのため、自律神経の乱れを引き起こしやすくなっています。
2.ホルモンバランスの影響
過敏性腸症候群と生理痛は、お互いにホルモンバランスの影響を受け合っています。
生理時に分泌量が多くなる、プロスタグランジンというホルモンは、子宮の収縮を強めたり、痛みを感じやすくする働きがあります。
そのため、プロスタグランジンの分泌量が増えると、生理痛の痛みが強くなるだけでなく、過敏性腸症候群による腹痛も強く感じやすくなってしまいます。
また、過敏性腸症候群の方は腸内環境が悪化すると、脳に痛みや恐怖、ストレスなどを感じる部分が過敏な状態になります。
そのため痛みを感じやすくなることで、生理痛の痛みが増したり、ストレスによって生理周期に乱れが生じる原因になります。
3.体の冷え
体は冷えると、体調に様々な悪影響を与える原因になりますが、過敏性腸症候群や生理にも悪影響を与えてしまいます。
人の体の熱は、安静時では50%が内臓によって産み出されています。
そのため、過敏性腸症候群によって腸の働きが低下すると、熱を生み出す機能も低下します。
またお腹には血管やリンパ管が密集しているため、内臓の働きが悪くなると血流やリンパの流れも悪くなり、体が冷えてしまいます。
体が冷えると、腸の水分吸収能力が低下し、下痢や腹痛の原因になります。
また、子宮周りの血流を増やそうと、プロスタグランジンのホルモンの量が増えるため、痛みに対して過敏になり、腹痛や生理痛を引き起こす原因になります。
過敏性腸症候群の方の生理への対策とは?
過敏性腸症候群の方は、これらの原因によって引き起こされます。
ですが、自律神経の乱れやホルモンのバランスなどを自分で改善することはとても難しいことです。
そのため、まずご自分で取り組んでほしい対策は、食事を改善することで腸の状態を良くしていくことです。
腸への負担が減り、機能が回復すると、体の冷えが良くなったり、自律神経が整いやすくなるなどの良い効果が期待できます。
1.野菜や果物を積極的に食べる
お肉や脂ものの多い食事は、腸内細菌叢の悪玉菌の割合を増やしてしまいます。
悪玉菌の割合が増えることで、腸内環境が悪化するため、食べすぎは症状を悪化させてしまいます。
野菜や果物には食物繊維が豊富に含まれていて、腸の善玉菌を増やしたり、便通を促す効果があります。
ところで、不溶性の食物繊維は、下痢型の方が一度に食べる量を増やすと、一時的に下痢を助長してしまうことがあります。
そのため、過敏性腸症候群の下痢型でお悩みの方には、食物繊維の摂取量を減らしている方もいます。
ですが、根本的な改善のためには、野菜や果物の摂取は欠かせません。
お腹の状態を見ながら、食事に野菜や果物を取りいれるようにしてください。
2.インスタント食品やジャンクフードなどの食べる頻度を減らす
身近に出回っている食品の中には、腸に良くない影響を与えるものが多くあります。
代表的なものがインスタント食品やジャンクフード、冷凍食品などです。
これらは便利ですし、また美味しいと感じやすいものでもあります。
ですが、食品添加物や化学調味料、酸化した油や防腐剤などは、胃に負担をかけ、腸内環境を悪化させてしまいます。
これらの利用する比率を極力下げることで、腸の状態を良くすることができます。
3.水をしっかり飲む
胃腸をはじめとした内臓を活発に働かせるには、十分なお水が必要です。
便秘型の方は水分が不足しているケースが多くみられ、また、過敏性腸症候群の下痢型の方でも、下痢が続くと体内の水分が出てしまうため、脱水症状にもなりやすくなってしまいます。
1日に男性なら2~2.5リットル、女性でも1.5~2リットルの水が摂取の目安になります。
コーヒーや紅茶はカフェインの利尿作用で、体の水分を減らしてしまい、胃腸の働きを悪くしてしまいます。
嗜好品として飲むのは良いのですが、普段の水分補給はお水でとるようにしてください。
*短期間で極端に水の摂取量を増やすと、胃腸に負担をかける恐れがあるので、体の状態を見ながら徐々に摂取量を増やしてください。
過敏性腸症候群や生理に悩まされず、安心して毎日を過ごすために
まずはこれらの対策を取りいれてみてください。
症状の程度の軽い方であれば、これらの対策でも十分な効果を得ることができます。
ただし、
- ・症状がきつく、生活に支障が出ている方
- ・症状が慢性化していて、薬では効果がみられない方
- ・すでに上記の対策を取り入れていて、それでも症状でお悩みの方
は、姿勢の調整や、自律神経のバランスの調整など、根本的な原因に対する治療を受ける必要があります。
過敏性腸症候群は生活に支障をきたしやすい症状です。
生理の悩みの他にも、様々な不調を引き起こす原因にもなってしまう症状です。
また、一般的には慢性化し、治りにくい症状と言われています。
ですが過敏性腸症候群は、引き起こしている根本的な原因を解決していけば、決して良くならない症状ではありません。
食事の取り方といったご自身で対策を取れるところは取り、それに加えて根本原因に対する治療を受けることをおすすめします。
一日も早く、過敏性腸症候群や生理に悩まされず、安心して毎日を過ごせるようになってください。
→つらい過敏性腸症候群の症状を改善するために、治療を受けたいとお考えの方は、当院の過敏性腸症候群の施術をご覧ください
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