中学生が過敏性腸症候群に悩まされる原因と、その対策とは?
あなたは、このようなお悩みはありませんか?
- 毎日のように授業中にお腹が痛く、病院で過敏性腸症候群と診断された
- 腹痛や便意が気になって、授業やテストに集中できない
- 整腸剤や薬を飲んでいるけれど、効果がない
過敏性腸症候群(IBS)は、病院で腸の検査や血液検査を受けても、炎症や潰瘍といった明確な原因が認められないにも関わらず、下痢や便秘、お腹の張り、腹痛などの症状が現れる疾患です。
慢性化する方が多く、治りにくいのも特徴です。
過敏性腸症候群は20~30代の方に多くみられる疾患ですが、中学生や高校生でもみられるケースが増えています。
中でも下痢型やガス型の方は深刻で、不登校にまでなってしまうケースもみられます。
特によく見られるのが、次のような悩みです。
・授業中にお腹が痛くなっても、恥ずかしくてトイレに行けず、腹痛をずっと我慢している方。
・おならが出てしまいそうで必死にガマンしていたり、ガマンしているはずなのに、臭いと言われてしまう方。
・自分が過敏性腸症候群だということが、理解してもらえるか不安で、学校の先生や友人にも相談できないと悩んでいる方。
過敏性腸症候群になってしまったことで、一度きりの学校生活がいじめられてしまったり、不登校になってしまうのは、とても残念なことです。
また、そのせいで勉強についていけなくなって進学や就職で思うような道に進めなくなるなど、将来に大きな影響を受けてしまいます。
なぜ中学生に過敏性腸症候群は起こるのでしょうか?
また、どのような対策を取ることができるのでしょうか?
中学生が過敏性腸症候群に悩まされやすい3つの原因
1.ストレスを受けやすい多感な時期
中学生になることで、学校生活はストレスを感じやすい要因が多くなります。
思春期と重なることや、先輩や後輩といった人間関係が複雑になる時期でもあります。
また、受験や進路に対するプレッシャーを感じる時期でもあります。
特に思春期を迎えることや受験のストレスによる影響は大きく、中学1~2年生で過敏性腸症候群になっている生徒の割合は全体の2.5%なのに対して、3年生になると、一気に5.7%にまで増えることが分かっています。(日本小児心身医学会調べ)
それに加え、授業中に気軽にトイレに行けないことも、大きなストレスになります。
ストレスを感じると、腸の筋肉が過剰に収縮します。
この過剰な筋肉の収縮が、過敏性腸症候群の方が感じる腹痛の原因です。
さらに腸の筋肉が収縮することで、蠕動運動が活発になりすぎて下痢になったり、おならが出たりします。
2.自律神経の乱れ
自律神経は、交感神経(活動や緊張)と副交感神経(リラックスや緩和)を調整しています。
運動しているときや、ストレスで緊張しているときは交感神経が活発に働き、リラックスしているときは、副交感神経が活発に働きます。
この自律神経が、胃腸をはじめとした内臓の働きを主に調整しています。
そのため、自律神経に乱れが起きると、内臓の働きに異常が起こり、腸の活動が過剰になったり、働かなくなったりと不規則な働きをみせ、過敏性腸症候群を引き起こします。
自律神経は強いストレスや慢性的なストレスによって乱れてしまいますが、その他の要因として姿勢の影響を大きく受けます。
自律神経は脳から背骨の中を走って、全身へと伸びています。
姿勢が悪くなることで自律神経を圧迫し、バランスが乱れてしまいます。
最近は、スマホやタブレット、パソコンを長時間使用する中学生も多く、姿勢が悪くなっているケースが多くみられます。
そのため、過敏性腸症候群を引き起こしやすくなっています。
3.食物繊維の不足や食事の乱れ
過敏性腸症候群は、食事の影響も大きく受けています。
日々の食事で腸に負担がかかることで、症状を悪化させます。
たとえば、ファーストフードやスナック菓子、冷凍食品を頻繁に食べていたり、外食が多くなっているような食習慣は、腸内環境を悪化させ、過敏性腸症候群を引き起こす原因になります。
この数年の研究では、過敏性腸症候群を引き起こす大きな要因の一つとして、腸内細菌叢の割合が関係していることが分かっています。(『腸内細菌と過敏性腸症候群』 著:福土 審 2015)
また、不登校を引き起こしやすい過敏性腸症候群のガス型の方は、小腸内に細菌が異常繁殖していることも分かっています。
過敏性腸症候群で悩む中学生の方の対策とは?
過敏性腸症候群の方は、突然腹痛や便意に襲われるため、その時に気軽にトイレに行けない状況だと、とても大きな不安になります。
この腹痛や便意は、「お腹が痛くなったらどうしよう」という不安が、引き起こす原因になっているケースが多くみられます。
そのため、授業中でもトイレに行きやすい環境を作れると、不安が軽くなって、腹痛や便意に襲われる回数自体も少なくなります。
学校の先生も、事情を知らないと上手くサポートすることはできないため、恥ずかしくても信頼できる先生に相談し、席を後ろの方にしてもらうなど、症状を理解してもらうことはとても大切なことです。
自分で実践しやすい対策としては、食事を変えて腸の環境を良くし、ストレスへの耐性を高めることです。
食事に気をつけることで腸の状態が良くなれば、腹痛やガスの発生といった症状が落ち着き、痛みや不調によるストレスが軽減されます。
1.野菜や果物の食べる量を増やす
お肉や脂ものの多い食事は、腸内細菌叢の悪玉菌の割合を増やしてしまいます。
悪玉菌の割合が増えることで、腸内環境が悪化するため、食べすぎは症状を悪化させてしまいます。
野菜や果物には食物繊維が豊富に含まれていて、腸の善玉菌を増やしたり、便通を促す効果があります。
ところで食物繊維は、下痢型やガス型の方が一度に食べる量を増やすと、一時的に下痢やガスの量を助長してしまうことがあります。
そのため、過敏性腸症候群にお悩みの方には、食物繊維の摂取量を減らしている方もいます。
ですが、根本的な改善のためには、野菜や果物の摂取は欠かせません。
お腹の状態を見ながら、食事に野菜や果物を取りいれるようにしてください。
2.インスタント食品やジャンクフードなどの食べる頻度を減らす
身近に出回っている食品の中には、腸に良くない影響を与えるものが多くあります。
代表的なものがインスタント食品やジャンクフード、冷凍食品などです。
これらは便利ですし、また美味しいと感じやすいものでもあります。
ですが、食品添加物や化学調味料、酸化した油や防腐剤などは、胃に負担をかけ、腸内環境を悪化させてしまいます。
これらの利用する比率を極力下げることで、腸の状態を良くすることができます。
3.水をしっかり飲む
胃腸をはじめとした内臓を活発に働かせるには、十分なお水が必要です。
便秘型の方は水分が不足しているケースが多くみられ、また、過敏性腸症候群の下痢型の方でも、下痢が続くと体内の水分が出てしまうため、脱水症状にもなりやすくなってしまいます。
1日に男性なら2~2.5リットル、女性でも1.5~2リットルの水が摂取の目安になります。
コーヒーや紅茶はカフェインの利尿作用で、体の水分を減らしてしまい、胃腸の働きを悪くしてしまいます。
嗜好品として飲むのは良いのですが、普段の水分補給はお水でとるようにしてください。
*短期間で極端に水の摂取量を増やすと、胃腸に負担をかける恐れがあるので、体の状態を見ながら徐々に摂取量を増やしてください。
過敏性腸症候群に悩まされず、充実した毎日を過ごすために
まずはこれらの対策を取りいれてみてください。
症状の程度の軽い方であれば、これらの対策でも十分な効果を得ることができます。
ただし、
- ・症状がきつく、生活に支障が出ている方
- ・症状が慢性化していて、薬では効果がみられない方
- ・すでに上記の対策を取り入れていて、それでも症状でお悩みの方
は、姿勢の調整や、自律神経のバランスの調整など、根本的な原因に対する治療を受ける必要があります。
過敏性腸症候群は生活に支障をきたしやすい症状です。
症状を抱えたままにしていると、症状のために通学ができなくなってしまったり、そのため将来就きたい仕事に就けなくなり、やりたいことができなくなってしまう恐れがあります。
ですが過敏性腸症候群は、引き起こしている根本的な原因を解決していけば、けっして良くならない症状ではありません。
食事の取り方といったご自身で対策を取れるところは取り、それに加えて根本原因に対する治療を受けることをおすすめします。
一日も早く、過敏性腸症候群に悩まされず、充実した毎日を過ごせるようになってください。
→つらい過敏性腸症候群の症状を改善するために、治療を受けたいとお考えの方は、当院の過敏性腸症候群の施術をご覧ください
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