なぜ胃下垂の方は胃もたれを起こしやすいのか?
あなたはこのようなお悩みはありませんか?
- 食後はいつも胃がもたれている
- 食後に気分が悪くなるため、食欲が湧かない
- 胃薬を頻繁に飲んでいるので、飲まずに済むようになりたい
胃下垂とは、胃が正常な位置よりも下に垂れ下がった状態を言います。
下垂することで胃の機能が低下してしまい、胃痛や胃もたれといった症状を引き起こします。
また、胃の不調だけではなく、太れない問題や、冷え性、肩こりなど全身の様々な不調を引き起こす引き金にもなってしまう症状です。
胃下垂の方によくみられる症状のひとつに、胃もたれがあります。
食べ物がいつまでも胃に留まって胃が重く感じたり、食後に苦しさを感じてしまいます。
すぐに胃がもたれてしまうため、食事を楽しめずに悩んでいる方が少なくありません。
胃薬を頻繁に飲み、どうしてすぐ胃もたれになってしまうのだろうかと、気分の悪さに悩まされています。
また、胃下垂の方は胃もたれのために病院で検査を受けても、多くの場合胃カメラなどで原因が特定できません。
そのため、薬を飲むこと以外に具体的な対策を指導されることが少なく、どうしたら治るのかと不安に感じています。
このような胃下垂の方に多くみられる状態を、別名機能性ディスペプシアとも言います。
なぜ胃下垂の方は、胃もたれになりやすいのでしょうか?
また、どのような対策を取れば良いのでしょうか?
胃下垂の方が胃もたれになりやすい原因とは?
1.胃が下垂することで、胃での消化が不十分になってしまうから
胃もたれは胃の働きが低下することで消化が不十分になり、食べ物が腸に送り出されず、長時間胃に留まり続けることで起こります。
胃は食べ物を消化し、吸収しやすい状態にして腸へと送り出しています。
具体的には、胃酸を分泌する働きと、食べものを胃で撹拌し、胃酸と絡めて消化を助ける働きをしています。
ところが、胃が下垂することで働きが低下してしまうと、胃酸の分泌量が低下し、また撹拌する力も低下してしまいます。
消化が不十分になるため、いつまでも胃に食べ物が留まることになり、胃もたれを引き起こします。
2.胃下垂によって、胃から腸に送る力が低下しているから
胃酸によって消化された食べ物は、胃の蠕動運動によって腸へと送り込まれます。
ところが胃下垂の方は、胃の蠕動運動が弱くなっているため、腸に送り出すのに時間がかかります。
バリウムを飲んで胃から腸への移動時間を測った研究によると、胃下垂の症状のきつい方は、一般的な人と比べると3倍も時間がかかっていることが分かっています。
(『胃下垂に関する臨床的研究』日本大学医学部、児泉肇)
長時間胃に食べ物が留まることで、胃もたれを引き起こします。
3.便秘によって腹圧がかかっているから
胃が下垂すると、腸を圧迫し、大きな負担がかかります。
そのため、胃下垂の方には便秘にも悩まされているケースが多くみられます。
腸に便が溜まることで腹圧が上昇し、胃から食べ物が腸に移動しづらくなってしまい、胃もたれを引き起こす原因となります。
4.食べ過ぎによる影響を受けやすいから
胃下垂の方は、上記の通り消化や撹拌する力、腸へと送り出す力が低下しています。
その状態で食べ過ぎてしまうと、胃が正常な位置にある方に比べて、より大きな負担がかかってしまいます。
また、消化する機能が低下しているため、お肉や脂っぽい食べものも、消化に時間がかかるため、胃もたれを引き起こす原因となります。
胃下垂の方の胃もたれへの対策とは?
胃下垂の方の胃もたれは、これらの原因によって引き起こされています。
そのため、根本的な解決には食事による負担を減らすことと、胃下垂自体を改善する必要があります。
胃下垂を自分で改善することは難しく、自分で取れる対策としては、普段の食事を見直すことで胃腸への負担を減らすことができます。
1.野菜や果物を積極的に食べる
お肉や脂ものの多い食事は、胃酸の分泌量を増やし、消化にも時間がかかるため、胃への負担が大きくかかります。
野菜や果物は、胃酸の分泌量も少なく、消化にかかる時間も短くすむため、胃に優しい食材です。
また、野菜や果物には食物繊維が豊富に含まれていて、腸の善玉菌を増やしたり、便通を促す効果があるため、胃にも腸にも良い効果があります。
意識して食事に野菜や果物を取りいれるようにしてください。
2.よく噛んで消化を助ける
胃の消化を助け、吸収を良くするためには、よく噛むことが効果的です。
食べ物が小さく噛み砕かれることで胃酸の消化を助け、胃の中で撹拌しやすくなったり、腸に送り出しやすくなります。
噛む回数が少ないと、食物が大きいため消化に時間がかかり、また撹拌する際にも大きな力を必要とし、胃の負担になります。
よく噛むことで消化を助け、胃への負担を減らしてください。
3.水を積極的に飲む
胃腸を活発に働かせるには、十分なお水が必要です。
コーヒーやお茶の摂り過ぎは、カフェインの利尿作用で、体の水分を減らしてしまいます。
嗜好品として飲むのは良いのですが、普段の水分補給はお水ですることが重要です。
男性なら2~2.5リットル、女性でも1日に1.5~2リットルの水が摂取の目安になります。
*短期間で極端に水の摂取量を増やすことは、胃に負担をかける恐れがあるので、胃の状態を見ながら徐々に摂取量を増やしてください。
胃下垂を良くし、胃もたれを気にせず過ごせるように
まずはこれら3つの対策を取り入れてみてください。
症状の程度の軽い方であれば、これらの対策でも十分な効果を得ることができます。
ただし、
- ・症状がきつく、生活に支障が出ている方
- ・症状が慢性化していて、薬では効果がみられない方
- ・すでに上記の対策を取り入れていて、それでも症状でお悩みの方
は、猫背などの不良姿勢の改善や、自律神経のバランスの調整など、根本的な原因に対しての治療を受ける必要があります。
胃下垂はそのままにしておくと、胃だけではなく様々な不調を引き起こす要因になります。
そのため、冷え性や便秘、慢性的な疲労など、肩こり以外にも様々な不調でお悩みの方が少なくありません。
また、一般的に胃下垂は良くなりにくい症状だと言われています。
ですが、引き起こしている根本的な原因を解決していけば、決して良くならない症状ではありません。
一日も早く胃下垂を良くし、胃もたれを気にせず毎日の食事を楽しめるようになってください。
→つらい胃下垂の症状を改善するために、治療を受けたいとお考えの方は、当院の胃下垂の施術をご覧ください
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