過敏性腸症候群のガス漏れの原因・対策について

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過敏性腸症候群のガス漏れを防ぐためには?

過敏性腸症候群の方が深刻に悩む症状の一つにガス漏れがあります。

おならをしたつもりがないのに、気付いたら周りが臭がっていたら、とても困ってしまいますよね。


直接臭いと言われなくても、咳払いやくしゃみをされて、ショックを受けている方が少なくありません。

なかには陰でひそひそと臭いと言われているのを聞いてしまい、ツラい思いをしている方もいます。


誰もが臭いと思っているのではないかと不安になってしまって、教室や職場にいるのが怖い、電車やバスに乗れないと、不登校になったり、仕事を辞めてしまうケースもあります。


でも、ガス漏れについて誰かに相談するのは恥ずかしく、嫌われるんじゃないかと不安だったり、打ち明けるのがとても難しい問題です。

この記事では、過敏性腸症候群の方のガス漏れの原因について、そして自分でもできる対策について紹介します。


当院では過敏性腸症候群で学校や仕事に通えないとお悩みの方も多数来院されています。

多くの患者さんが来院される中で分かったことに加えて、医学論文なども参考に書いています。


長い記事ですがどれも大切なことばかりですので、しっかりと読んでください。


なぜガスが漏れてしまうのか?

なぜ、ガマンしているのに周りが臭いと感じるのでしょうか?

お尻の穴は締まっているはずなのに、ガスが出るようなことはあり得るのでしょうか?


なぜ消臭パンツなどの消臭対策が上手くいかないのでしょうか?


臭いの原因はおならだけじゃなく、体臭や口臭としても出ている

じつは、自覚がないのに周りから臭がられてしまう方は、体内で発生したガスがお尻から出ているのではなくて、体臭(皮膚)や口臭として出てしまっているケースがとても多いです。

ガス漏れで悩んでいる方は、「消臭パンツを履いていても効果がない」と悩んでいることも多いのですが、それはお尻以外の場所から臭いが出ているためです。


過敏性腸症候群の方は、腸でガスが発生し、血液を巡って口や皮膚から出てしまうため、ガス漏れが発生してしまっています。


皮膚から臭いが出てしまう現象は『皮膚ガス』といって、過敏性腸症候群だけに見られる現象ではありません。

一番身近なケースでは『加齢臭』も、同じ皮膚ガスによる体臭です。


そのほか糖尿病の方にみられる甘酸っぱい臭いのアセトン臭、また二日酔いの人からプンと漂ってくるお酒臭いのも、皮膚(と口)から出る臭いです。


こういった皮膚ガスについては、近年になって研究が盛んに行われていて、ごく最近の研究では、ストレス過多の人に皮膚から体臭が出ることも分かっています。(


次に過敏性腸症候群の方が、ガスが発生し、体外に臭いが出てしまう詳しい流れを説明します。

原因を把握することで、これから下で紹介する対策以外にも、自分の症状を悪化させている原因に気がつけたり、対策を取ることができます。


ガスが発生して体の外に出る詳しい流れ

1.ガスが発生するのは腸内細菌の乱れが原因

腸のイラスト。腸内細菌の乱れについて

食事を取った後、お腹がパンパンに張ってしまったり、おならがしたくて仕方がない、という経験をしたことはないですか?

これは小腸に繁殖した腸内細菌が原因です。


小腸は食べものを消化して、吸収する場所。

そのため、本来は大腸に比べると腸内細菌の非常に少ない場所なんです。

大腸が100兆個もの細菌がいるとしたら、小腸はたった1万個しかいないと言われています。


ところが、小腸に腸内細菌が繁殖すると、腸が食べものを吸収する前に、腸内細菌が分解をはじめ、水素ガスやメタンガスが発生してしまいます。

その結果、食後にガスでお腹が張ってしまい、ガス漏れが起きてしまうわけです。


このような現象をSIBO(シーボ)と言います。

SIBOには厄介な問題があって、一般的には腸に良いといわれているヨーグルトや乳酸菌サプリでかえってガスを発生させたり、細菌の繁殖の手助けになってしまうことがあります。


そのため、腸に良いだろうと思ってやってることが、逆効果になってることも多いのです。

具体的にどんな対策を取れば良いかは、後でご紹介します。


2.腸壁のバリアが破れ、ガス(毒素)が血管に

血管の中に入り込んだ毒素のイラスト

小腸で発生した『臭いの元』は腸壁から吸収されて、血液を巡って全身に回ってしまいます。


状態の良い腸壁は、体に害を与える毒素やガスを吸収しないようにバリアが張られています。

一般の人がさつまいもなどのガスが発生しやすい食材を食べても体臭として出ないのは、このバリアが吸収を防いでいるからです。


ところが過敏性腸症候群の方は、腸壁が薄くなり、バリアの機能が壊れてしまっています。(

この腸壁のバリアは、普通の内視鏡などの検査では分かりませんが、顕微鏡で見てみると腸壁が隙間だらけになっていることが分かります。


そのため、便の毒素、腸内で発生したガスが隙間から吸収され、それが血管を巡って口や皮膚から出る原因になっています。


なぜ腸内細菌の乱れが起きたり、バリアが壊れてしまうのか?

1.食事内容の問題

毎日どんなものを食べているのか、どんな食べ方をしているかは、腸にとって非常に大きな問題です。

胃腸に負担のかかる食べものや、食べ方を続けていると、腸の状態が悪化してしまいます。


たとえば次のような食事をしていないでしょうか?

  • ・お肉や脂っぽいものが中心の食事
  • ・加工食品やインスタント、冷凍食品の多い食事
  • ・お菓子やジュースといった砂糖の摂りすぎ

これらの食事は腸内細菌の悪玉が繁殖するエサになります。

一度や二度では問題はなくとも、習慣的に食べ続けていると確実に腸内環境が悪くなってしまいます。


また、過敏性腸症候群のガス漏れで悩んでいる方がよくしている対策に、ヨーグルトを食べたり、オリゴ糖をとったりする方もいます。

ですが、一部の方にはガスを発生させるエサになってしまうため、本当に自分に合っているか、確かめる必要があります。


2.食事の取り方や間食の問題

食べる内容も大事ですが、食事の食べ方もとても大事です。

噛む回数が少ないと、胃や腸に負担がかかってしまいます。


消化や吸収に時間がかかり、小腸で腸内細菌が増える原因になります。


また、間食が多い方も要注意です。

当院に来院される過敏性腸症候群の患者さんには、間食をしている傾向が高くみられます。


胃腸の休まる時間がないことで、内臓疲労を招いてしまいます。

胃や腸は食べものがない空っぽな状態で、胃壁や腸壁といった組織を修復させたり、胃腸に残っているわずかなゴミの掃除をしているので、常に食べものに満たされていると、修復されずどんどん弱ってしまいます。


3.自律神経の乱れ

自律神経のイラスト

体の働きをコントロールしているのが自律神経です。

興奮したときに働く交感神経と、リラックスしたときに働く副交感神経に分かれます。


胃腸が活発に働くには、副交感神経が強く働いている必要があり、副交感神経の働きが弱まると、胃腸が十分に働けなくなってしまいます。

自律神経は様々な影響を受けやすく、睡眠時間の不足、運動不足といった日常生活習慣に大きな影響を受けています。


その他、当院では姿勢の悪さにも非常に大きな影響を受けていると考えています。


4.ストレス

ストレスを抱えた女性のイラスト

ストレスは過敏性腸症候群の主な原因と言われていますが、なぜ悪いのかというのは、以前まであまり分かっていませんでした。


胃や腸といった内臓は、意識できないだけで常にゆっくりと動いています。

なんのために動いているのかというと、血液やリンパ液を循環させて、疲労を取ったり、内臓に残った食べ物の残りを運んで綺麗にしています。


ところがストレスを感じると、胃や腸はすぐさま影響を受けて、動きを止めてしまうんです。


また、血流も一気に悪くなってしまいます。

腸は常に動くことでゴミを大腸に送り、便として排泄しているのに、動きが止まった結果、腸にゴミが溜まり、腸内細菌のバランスが乱れる原因になってしまうのです。



過敏性腸症候群の方が、ガス漏れに悩まされるのは、これらの原因が絡まり合って起こっています。

人によって影響を受けている比率は変わり、どれか一つだけが原因というわけではありません。


また、それぞれの原因は相互に影響を与え合っていて、問題を複雑にしてしまっています。

だからこそ食事だけを気を付けていれば良い、この薬やサプリを飲んでいれば良いといった対策では良くならず、難治の人が出てしまう原因になっています。


当院が考える過敏性腸症候群のガス漏れの対策について

前述の通り、過敏性腸症候群の方はとても多くの原因によって引き起こされています。

そのため、対策もこれだけをしていればOKというものではありません。


腸の状態は人それぞれ違うものです。

ヨーグルトやオリゴ糖といった、一般的に腸に良いとされるものも必ず良いとは限らないし、人によっては逆効果になってしまいます。


次に紹介する対策で、ご自身で問題があると感じられるものを一つ一つ取り入れていってください。

一気に全てを変えようとすると、環境や習慣の変化でストレスを感じてしまうこともあるので、取り入れやすい物から始めてみてください。


食事の取り方について

腸で栄養の吸収を早めるため、よく噛む

小腸に繁殖した腸内細菌が食べものからガスを作る量を減らして、小腸が栄養を吸収するのを少しでも早めてあげることが大事。

そのためにはよく噛むことが重要になってきます。


目安は一口30回。

実際に食べてみると結構大変ですが、これは厚生労働省が「カミング30」といって、正式に推奨している回数です。(


消化や吸収が早くなり、腸内細菌のエサが減ることで、繁殖を抑えることができます。

また、食事に含まれる空気が減ることで、おならの量を減らす効果も期待できます。


律動運動といって、顎をリズム良く動かすと、脳に血流が増えて頭がスッキリしたり、不安の軽減する効果もあるため、複数の理由でおススメです。


間食を控える

食事と食事の間を空けることで、胃腸が休まります。

腸内が空っぽになっているときに、腸内に残った内容物(カス)を移動できます。


残った内容物が大腸に運ばれていくときに、小腸内に繁殖した細菌も同時に移動することが分かっています。


夜遅くて寝るまでに時間がないときは軽めに

ベッドで眠る女性

寝てるときは内臓が疲労を回復するタイミングでもあります。

理由があって食事が遅くなってしまう場合は、夜は軽めに食べるのがおススメ。


仕事などで、毎日夜遅くなってしまうような生活リズムの方は、難しいかもしれませんが、できるだけ意識して早めに食べるようにしてください。


食事内容について

野菜や果物を積極的に食べる

たくさんの野菜と果物

食物繊維は腸内を掃除し、腸内環境を整える、便の形状を保つなど、胃腸の状態を良くするためには欠かせない食材です。

ビタミンやミネラルも豊富に含まれていて、全身の機能を整えてくれます。


そのため、一部を除いて積極的に食べることをおススメします。

過敏性腸症候群のガス漏れに悩んでいる方は、ニンニクやニラ、ネギなどの食材は、硫黄ガスを発生させて臭いの元になるので、避けた方がいいです。


不溶性の食物繊維は、食べる量を増やすと一時的にガスの量が増えたり、下痢を助長してしまうことがあります。

そのため、食物繊維の摂取量を減らしている方がいます。


ですが、長期的に見た根本的な改善のためには、野菜や果物の摂取は欠かせません。

お腹の状態を見ながら、食事に野菜や果物を取りいれるようにしてください。


お肉や脂っぽい食べものを食べ過ぎない

タンパク質や脂質は体に必要な栄養でもあるため、食べるのが悪い訳ではありません。

ただ、量が増えると腸内環境が悪くなったり、ガスを発生させやすくなるため、野菜や果物をしっかり食べて、比率を下げてください。


ハムやベーコンといった加工肉を減らすことも、添加物や防腐剤の摂取量を減らし有効です。


食品添加物や人工甘味料の利用は避ける

人工甘味料は色々な食品で使われています。

この人工甘味料、2018年の南陽理工大学の研究では、腸内細菌に大きなダメージを与えてしまうことが分かっています。(


具体的には、腸に存在する腸内細菌は種類が多いほど良いのですが、弱い菌がどんどん死んで、強い菌だけが増えてしまう状態です。

その結果、腸のバリア機能が低下し、腸壁が敏感になってしまいます。


非常に少量でも悪影響があることが分かっているので、避けられるなら避けた方が腸に優しいです。


お水をしっかり飲む

水を飲む女性

内臓が活発に働くには、十分なお水を飲むことが欠かせません。

過敏性腸症候群のタイプに関わらず、十分な水分補給が必要です。


女性で1.5~2リットル。男性では2~2.5リットルを目安に飲むようにしてください。


このとき大切なのは、コーヒーや紅茶ではなく、純粋なお水で飲むことです。

カフェインの利尿作用で、体の水分を減らしてしまい、胃腸の働きを悪くしてしまいます。


嗜好品として飲むのは良いのですが、普段はお水を飲むように心がけてください。


*短期間で極端に水の摂取量を増やすと、胃腸に負担をかける恐れがあるので、体の状態を見ながら徐々に摂取量を増やしてください。


規則正しい生活

適度な運動を取りいれる

ウォーキングをする男女

人の体を健康に保つには、ある程度の運動が必要です。

これは過敏性腸症候群の方に限らず、一般的な方にも言えることです。


過敏性腸症候群の方は、症状がきつくなるとどうしても家にこもりがちになってしまいがちです。

ですが、軽い運動は腸の環境を良くしてくれます。


どれぐらいの運動が必要でしょうか?

人によって運動習慣の違いや、体力にも差があるので、厳密には言えませんが、激しい運動は必要ありません。


「近くの公園まで散歩してみる」

「外出した時は早歩きをしてみる」

「電車の駅を一つ手前で降りて歩く」

「エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う」といったことでも、十分な運動になります。


イリノイ大学の研究では、週に90~180分の軽い運動でも腸内フローラが増えることが分かっています。(

隔日なら30分。毎日なら15分、少し意識的に運動するだけでも、腸に良い効果を得ることができますよ。


睡眠時間はしっかり取る

睡眠は体の回復に欠かせません。

睡眠不足になると

  • ・不安やうつ傾向になる
  • ・免疫力が低下する
  • ・内臓が休まらず疲労が回復しない

など、過敏性腸症候群に対して、無数に悪影響があります。


また、腸は起床時よりも睡眠時に、非常に活発に動く内臓です。

しっかりと寝ている時間が長いほど、腸壁を修復したり、小腸に溜まった腸内細菌を排泄してくれます。


意識的に睡眠時間を長めにとってみる。

夕方以降はカフェインの入ったものは飲まない。

寝る前にスマホやゲームを避けるといった方法でも、睡眠の質を高めることができますよ。


まとめ.ガス漏れを良くして、周りを気にせず過ごせるように

過敏性腸症候群のガス漏れを良くするためには、悪化させる要因を一つずつ取り除き、腸の状態を整えてあげる必要があります。

とはいえ、その原因は人によって様々です。


一番効果的なことは、その人の状態に合わせて、的確にアドバイスを受けられることです。

ただ、それはインターネット上では難しいことです。


この記事では自分が不足していると思えるもの、改善の余地があるものを、一つでも良いので積極的に取り入れてください。


当院では難治性と呼ばれるような、学校や会社を休んでいるような重度の過敏性腸症候群の患者さんも来院されます。

そんな方たちでも、しっかりと治療を続けていれば、改善されています。


治らないのではないか、一生このままではないかと不安に感じている方も、治ることを諦めずに試してみてください。


つらい過敏性腸症候群の症状を改善するために、治療を受けたいとお考えの方は、当院の過敏性腸症候群の施術をご覧ください


引用文献一覧

1)緊張によるストレスで皮膚から特徴的なニオイが発生する:資生堂

2)腸内細菌と過敏性腸症候群:福土 審

3)歯科保健と食育の在り方に関する検討会報告書(概要):厚生労働省

4)Measuring Artificial Sweeteners Toxicity Using a Bioluminescent Bacterial Panel:Molecules 2018, 23(10), 2454

5)Exercise Alters Gut Microbiota Composition and Function in Lean and Obese Humans.:Med Sci Sports Exerc. 2018 Apr;50(4):747-757

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