胃下垂は、遺伝が関係するの?遺伝だと良くならないの?
胃下垂は、胃が正常な位置よりも下に垂れ下がった状態を言います。
胃下垂を引き起こす主な原因として、筋肉や脂肪が不足していて、胃をはじめとする内臓を正常な位置に保てないと言われています。
背が高く痩せている人に多く、胃が下垂することで機能が低下してしまいます。
また、胃の不調をはじめ、各内臓の不調を引き起こす引き金にもなってしまう症状です。
胃下垂を放っておくと、内臓全体の下垂を招き、年々全身の不調を引き起こす原因にもなってしまいます。
胃下垂の原因の一つには遺伝があります。
親が胃下垂だと、その子どもが胃下垂になる確率も高いと言われています。
では胃下垂は、どのような方がなりやすいのでしょうか?
一般的な原因と遺伝的な要素のあるものを分類します。
一般的な胃下垂の原因と、遺伝的な要素
1.体型によるもの
親子で顔立ちが似るように、体型や体質についても遺伝するケースが多いです。
胃下垂は背が高く、痩せ型の方に多くみられます。
胃の位置を支えているのは、筋肉や内臓脂肪の働きなため、遺伝によって内臓の筋力が弱かったり、内臓脂肪が少ない体型だと、胃下垂を引き起こしやすくなります。
2.日常の姿勢不良によるもの
胃下垂の方の多くが、猫背で肩が内巻きになっています。
その不良姿勢が癖づいてしまうと、お腹側が圧迫され続けます。
結果、胃をはじめとする内臓が下垂しやすくなります。
姿勢は日常生活の過ごし方にも大きく影響を受けますが、骨格や筋肉のバランスといった遺伝にも大きく影響を受けます。
また親子は生活環境も似通うため、胃下垂を引き起こしやすくなります。
3.食事内容の問題や食生活の乱れによるもの
お肉や脂ものといった胃に負担をかける食事内容をしていたり、食生活に乱れがあると、胃腸に負担をかけ続けてしまい、内臓の働きが低下しています。
そのため、胃に食べた物が停滞する時間が長くなり、胃に下への力をかけ続け、胃下垂を引き起こしやすくなります。
4.自律神経のバランスの乱れによるもの
胃をはじめとした内臓の働きは、主に自律神経によって調整されています。
その自律神経は、脳から背骨の中を伝って全身へと走っているため、姿勢が悪くなると神経の出入り口が圧迫され、バランスに乱れが起こります。
また、ストレスの影響も大きく受けます。
自律神経のバランスが乱れることで、胃の働きが低下し、胃下垂を引き起こしやすくなります。
胃下垂の原因は一つだけではなく、複数の要因が重なり合って引き起こされます。
そのため、遺伝の影響もありますが、それ以外の普段の食生活や生活習慣の要因を改善することで、症状の悪化を防いだり、緩和を図れます。
ただ、根本的に胃下垂を良くしようとするならば、自分ではできない骨格のゆがみからくる姿勢の問題や、自律神経の乱れなどを調整する治療を受けることが重要です。
自分でできる胃下垂からくる不調をやわらげる対策
自分でできる対策としては、先ほど紹介した原因の一つである、食事内容や食生活の問題を改善することで胃への負担を減らし、内臓機能の低下を防ぐことができます。
具体的には次の2点が行えます。
1.野菜や果物を積極的に食べ、お肉や脂ものの比率を下げる
お肉や脂ものの食事は、胃酸の分泌量を増やし、消化にも時間がかかるため、胃の負担の大きな食材です。
野菜や果物は、胃酸の分泌量も少なく、胃の滞留時間も短くすむため、胃に優しい食材です。
また、野菜や果物には食物繊維が豊富に含まれていて、腸の善玉菌を増やしたり、便通を促す効果があるため、胃にも腸にも良い効果があります。
ところが、現代人の野菜の摂取量は平均293gで、目標量の350gを摂れている人はわずか33%しかいないと言われています。(厚生労働省の平成27年「国民健康・栄養調査」の結果より)
意識して食事に野菜や果物などを取りいれるようにしてください。
2.よく噛むことで消化を助ける
胃の蠕動運動による働きは、腸へと食物を送り出す役割に加えて、胃酸を食べ物と絡ませ、消化を助ける役割があります。
噛む回数が少ないと、食物が大きいため消化に時間がかかり、また蠕動運動にも大きな力を必要とします。
よく噛むことで消化を助け、また腸への移動もしやすくなり、負担を減らすことができます。
遺伝性の胃下垂でも諦める必要はありません
遺伝によって痩せ型だったり身長が高いので、自分の胃下垂はもう良くならないと諦めているかもしれません。
ですが、紹介した対策を取っていただくだけでも、胃下垂からくる不調をやわらげることは十分可能です。
また、改善がみられにくい場合や、胃下垂自体を良くするためには、骨格のゆがみなどの姿勢の問題に対する根本的な治療を受ける必要があります。
一般的に、胃下垂は良くなりにくい症状だと言われています。
ですが、胃下垂を引き起こしている姿勢の問題や自律神経の乱れ、内臓機能の低下といった原因を取り除いていけば、決して良くならない症状ではありません。
一日も早く、胃下垂に悩まされないようになってください。
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