胃下垂によって引き起こされる腹痛の種類とは?
胃下垂とは、胃が正常な位置よりも下に垂れ下がった状態を言います。
下垂することで胃の機能が低下してしまい、胃痛や胃もたれといった症状を引き起こしてしまいます。
また、胃の不調だけではなく、肩こりや冷え性など全身の問題を引き起こす原因にもなってしまいます。
胃下垂の方にみられやすい症状のひとつに、腹痛があります。
慢性的に痛みが続き、胃薬や痛み止めの薬でも改善がみられず、もう治らないのではないかと不安に感じ、悩んでいる方の多い症状です。
胃下垂によって腹痛は、なぜ起こるのでしょうか?
また、どのような対策を取れば良いのでしょうか?
胃下垂によって引き起こされる腹痛の5つの分類
胃下垂によって引き起こされる腹痛には、複数のケースが考えられます。
1.胃痛や胃もたれといった胃の不調
胃下垂によって引き起こされるもっとも多い腹痛が、胃の不調によって引き起こされる胃痛です。
胃下垂は、胃が正常な位置よりも下垂することで、食べものを消化する働きや、消化したものを腸に送る働きが低下します。
そのため消化不良になり、胃炎を起こし、下垂しているため腹部の痛みに悩まされやい傾向があります。
胃下垂の方の胃を胃カメラで検査したところ、胃になんらかの炎症が起きている方は、58%にも上ることが分かっています。
『胃下垂に関する臨床的研究』児泉肇 日本大学医学部
2.生理痛などの婦人科系疾患
女性によくみられるのが、生理痛などの婦人科系疾患を原因とした下腹の痛みです。
胃下垂の方は、下垂した胃に圧迫を受けることで、腸や子宮などの内臓も悪影響を受けます。
子宮はもともと多くの血液が流れる場所です。
血流やリンパの流れも悪くなるため、重い生理痛や生理不順など、様々な婦人科系疾患に悩まされるケースが多く見られます。
詳しくは『胃下垂だと子宮のトラブルが起きやすいのは本当なの?』のページをご覧ください。
3.自律神経の乱れ
胃下垂を引き起こす主な原因の一つに、自律神経の乱れがあります。
自律神経は胃だけではなく、内臓全体の働きに大きく関わっているため、胃下垂の方は他の内臓の働きにも問題が起きていることが多く、慢性的な内臓の不調によって、みぞおちに痛みが生じるケースがあります。
4.腹圧の上昇
腹圧が高まると、内臓が圧迫を受け、腹部に鈍い痛みを感じます。
胃下垂の方は、胃での消化が不十分になるため、腸に負担がかかり、便秘になりがちです。
腸に便が溜まることで腹圧が上昇し、内臓を圧迫することで腹痛を感じます。
また、胃下垂を引き起こす原因の一つに、猫背などの姿勢不良の問題があります。
姿勢が悪くなると、上半身の重みがお腹側にかかるため、姿勢によっても腹圧が高くなり、痛みを引き越す原因になります。
5.消化不良による下痢
胃下垂の方は、便秘ではなく下痢に悩まされるケースもみられます。
胃での消化が不十分な食べものが腸に送りこまれるため、栄養の吸収や便の形成が十分に行われず、下痢を引き起こします。
毎日のように下痢を起こしてしまう方や、少し食べすぎたり飲みすぎたら、下痢を起こしやすい方がこのケースに該当します。
緊急性の高い病院に行くべき腹痛とは?
腹痛には、これらの胃下垂を原因とした慢性的な痛みとは別に、病院で検査を受けたほうがよい、緊急性の高い疾患もあります。
緊急性が高い腹痛にはある程度の共通点があり、症状に吐き気・嘔吐・冷や汗・発熱・非常に強い痛みが伴うような腹痛は、急性疾患の可能性が高いため、注意が必要です。
また、このような痛みのあるときは、痛み止めで様子を見ていると重症化することもあるため、早めに検査を受けることをおすすめします。
考えられる疾患としては次のものがあります。
腸閉塞(イレウス)
腸閉塞は、吐き気・嘔吐を伴う腹痛で、緊急性の高い腹痛としては、非常に多くの方にみられる疾患です。
腸閉塞は腸が詰まることで、便や腸液などが溜まり、腹圧が高くなることで痛みを感じます。
腸閉塞はお腹の手術後に起こるケースと、「脱腸」や腸が捻れる「腸捻転」のほか、非常にきつい便秘などでも起こるケースがあります。
胆石症(たんせき)
肝臓から小腸に分泌される管に、胆汁が固まり流れが悪くなることで痛みを発します。
みぞおちに痛みを感じ、また右肩に響くような痛みも特徴的です。
中年以降の肥満の人に起こりやすい傾向があります。
急性膵炎
急性膵炎の多くは、胆石症やアルコールの飲みすぎによって、膵臓が急激に炎症を起こすことで発症します。
胆石による膵炎は、女性に多くみられます。
みぞおちや背中に突き抜けるような激しい痛みが特徴的です。
吐き気や嘔吐、発熱といった症状もみられます。
心筋梗塞
心筋梗塞は心臓に栄養を補給している血管が詰まり、心臓の筋肉が壊死することで起こります。
みぞおちや胸に激痛が起こり、吐き気や冷や汗もみられます。
高血圧や高脂血症などがあり、疲れや睡眠不足などが重なると発症しやすくなります。
虫垂炎
虫垂炎は腸の虫垂に炎症を起こし、化膿することで腹痛が起こります。
昔は盲腸と言われていましたが、その後の医学の発達とともに原因部分がより詳しくわかり、名称が変わりました。
最初は心窩部や上腹部に痛みが起こり、右下腹部に痛みが移動していく特徴があります。
胃下垂によって引き起こされる腹痛への対策とは?
これら緊急性の高い腹痛とは違い、胃下垂による腹痛は、胃が下垂することによる慢性的な胃の働きの低下と、日々の食事による胃への負担が大きく関係しています。
胃下垂自体を自力で改善することは困難なため、ご自分で取り入れやすい対策としては、日々の食事を見直し、胃への負担を減らす方法があります。
1.野菜や果物を積極的に食べる
お肉や脂ものの多い食事は、消化に時間がかかるため、胃腸に負担が大きくかかります。
野菜や果物は、胃酸の分泌量も少なくすみ、消化にかかる時間も短くすむため、胃に優しい食材です。
野菜や果物は胃酸の分泌量も少なく、消化にかかる時間も短いため、胃への負担の少ない食材です。
また、野菜や果物には食物繊維が豊富に含まれていて、腸の善玉菌を増やしたり、便通を促す効果があるため、胃下垂によって引き起こされる便秘などにも良い効果があります。
意識して食事に野菜や果物を取りいれるようにしてください。
2.よく噛んで消化を助ける
胃下垂の方は胃の働きが低下することで、消化が不十分になっています。
胃の消化を助け、吸収を良くするためには、よく噛むことが効果的です。
食べ物が小さく噛み砕かれることで胃酸の消化を助け、胃の中で撹拌しやすくなったり、腸に送り出しやすくなります。
噛む回数が少ないと、食物が大きいため消化に時間がかかり、また撹拌する際にも大きな力を必要とし、胃の負担になります。
よく噛むことで消化や栄養の吸収を助けるだけではなく、満腹中枢を刺激し、食べすぎを防ぐなど、痩せている方だけではなく、太りやすい方にも効果があります。
よく噛むことで消化を助け、胃への負担を減らしてください。
3.水を積極的に飲む
胃腸を活発に働かせるには、十分なお水が必要です。
男性なら2~2.5リットル、女性でも1日に1.5~2リットルの水が摂取の目安になります。
コーヒーやお茶の摂り過ぎは、カフェインの利尿作用で、体の水分を減らしてしまいます。
嗜好品として飲むのは良いのですが、普段の水分補給はお水ですることが重要です。
*短期間で極端に水の摂取量を増やすことは、胃に負担をかける恐れがあるので、胃の状態を見ながら徐々に摂取量を増やしてください。
胃下垂による腹痛を気にせず、元気に毎日を過ごせるように
まずはこれら3つの対策を取り入れてみてください。
症状の程度の軽い方であれば、これらの対策でも十分な効果を得ることができます。
ただし、
- ・症状がきつく、生活に支障が出ている方
- ・症状が慢性化していて、薬では効果がみられない方
- ・すでに上記の対策を取り入れていて、それでもお悩みの方
は、猫背などの不良姿勢の改善や、自律神経のバランスの調整など、根本的な原因に対しての治療を受ける必要があります。
腹痛はもちろんですが、痛みは体に何らかの不調が起きているサインです。
痛みを抱えたままにしていると、不調は少しずつ進行し、深刻化していきます。
そのため、早い段階で対策を取り、改善することが大切です。
胃下垂は、引き起こしている根本的な原因を解決していけば、決して良くならない症状ではありません。
一日も早く胃下垂を良くし、元気に毎日を過ごせるようになってください。
→つらい胃下垂の症状を改善するために、治療を受けたいとお考えの方は、当院の胃下垂の施術をご覧ください
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