なぜ機能性ディスペプシアは自律神経を整えることが重要なのか?
機能性ディスペプシアは胃カメラなどの検査をしても、炎症や潰瘍などの異常がないにも関わらず、胃痛や胃もたれなどの不快な症状を感じる不調です。
薬を飲んでも良くならない、原因が分からないからどう対処したらいいか分からないと、不安に感じている方が多くいます。
当院に来院されたKさんも、長年機能性ディスペプシアに悩んだ患者さんの一人です。
Kさんは60代の女性で、主婦をされています。
元々胃腸は強い方ではなく、高校生の頃ぐらいから胃腸の調子が良くなかったと言います。
大人になってから病院で検査を受けますが、「胃は綺麗で問題ない」と言われ、長年ずっと原因が分かりませんでした。
その後、Kさんは病院で機能性ディスペプシアと診断を受けます。
処方された胃薬を飲んでいましたが、ひどい胃もたれに悩まされて、食欲がない状態が続きます。
体重も一番あった時と比べると、10kgも減ってしまいました。
「本当はもっと食べて太りたい気持ちもあるんですけど、食べると気持ち悪くなるので、満足に食事も取れていません。食事のたびに、あともうちょっと食べれたら良いのになあと感じていました」
胃腸があまり動いていないことで体が冷え、暑い夏でも冷えで体調をよく崩してしまっていました。
「免疫力も落ちているみたいで、10年ほど前から普通ではかからないような珍しい病気にかかってしまって、今も通院中なんです」
Kさんは病院で処方された薬を飲んだり、整骨院や針、お灸など、ありとあらゆる治療を試します。
その結果、体の不調の多くは良くなりますが、胃の不調がどうしても治りません。
「もっと元気になりたいし、食事を楽しめるようになりたいです」
「でも全然良くならなくて、もしかしたら一生このままなのかと不安な気持ちになったりもしました」
それでもKさんは何とか治る方法はないのかと治療を探し続けた結果、当院のHPを見たことで、来院を決めました。
当院で問診や検査をした結果、Kさんのお体の問題点が分かりました。
Kさんの機能性ディスペプシアを引き起こしていた原因は、首の関節のバランスが崩れてしまっていて、姿勢が悪くなっていたこと。
また、慢性的なストレスを抱えていたことでした。
これらによって、自律神経が乱れてしまっていたために、胃腸の働きを低下させ不調を引き起こしていました。
当院の治療では、Kさんの首のバランスを整え、姿勢を良くしました。
首の関節が整うことによって、脳から全身に伸びている神経の通りがスムーズになり、自律神経が整っていきます。
また、ストレス対策についてもお伝えしました。
特にお伝えしたのが、寝る前の意識の切り替えです。
Kさんはご家族の心配事に対するストレスを長らく抱えていました。
「つい寝る前にもずうっと心配していて、考えれば考えるほど眠れなくなっていました」
日中に考え事をするのは良いのですが、寝る直前まで不安や心配事を考えていると、自律神経は昂ったままになってしまいます。
寝る前は意識的に自分の好きなことや楽しいことを考えてもらって、寝てる間に自律神経が落ち着かせ、安定させてもらいました。
首のバランスが安定したことで、ストレスによる影響も受けづらくなったこともあり、Kさんは自律神経が整っていきます。
当院の治療が進むにつれて、Kさんの姿勢はきれいになり、首への負担も大きく軽減します。
家族の心配事も、心配はしても、それに囚われて悩みこんでしまうことがなくなりました。
その結果、Kさんは自律神経が整って、胃腸が働き出しはじめました。
「通院しているうちにどんどん胃もたれや胃痛に悩まされることがなくなりました」
「今では食欲も普通にあって、なんだったら食べ過ぎてしまう日もあるぐらいです」
と嬉しそうに報告してくれました。
その後、Kさんは機能性ディスペプシアの症状が再発することなく、良い状態が安定していました。
今後も良い状態で食事を楽しまれていることだと思います。
機能性ディスペプシアと自律神経の関係とは?
機能性ディスペプシアと診断を受けて、耳慣れない病名に、どういった病気なのか分からない、と悩む方も少なくありません。
機能性ディスペプシアは『検査で炎症などの何らかの原因が見つからないのに、慢性的に胃痛や胃もたれなどの不快な症状に悩まされる状態』を言います。*1
そのため胃カメラや内視鏡検査を受けても、「胃がきれい」「異常なし」と診断されます。
何が原因なのか、どうすれば良くなるのか分からずに、深く悩む方が多くいます。
そんな機能性ディスペプシアの方に多く見られる原因が、自律神経の乱れです。
自律神経は脳から背骨を通って全身に伸びています。
体の様々な働きをコントロールしており、胃腸の働きも自律神経に大きな影響を受けています。
自律神経を乱す要因は複数ありますが、特に多く見られるのは、ストレスと首の骨格のバランスの崩れ(姿勢)です。
1.強いストレス、あるいは慢性的なストレスを抱えている
2.首の骨格のバランスが崩れている
3.猫背など姿勢が悪い
これらは理由は異なりますが、どれも自律神経のバランスを乱してしまいます。
そのため、対策としては次の3つが改善に効果的です。
1.寝る前は好きなことや楽しいことを意識的に考える(寝ている間に神経が休まる)
2.首の骨をボキボキ鳴らしたり、左右に振らない
3.スマホやタブレット、携帯ゲーム機を低い位置でうつむいて見すぎない
機能性ディスペプシアは、検査をしても原因が分からないために悩んでいる方が多いです。
ですが、それは検査上異常が見つからなかっただけで、なにも原因がないわけではありません。
体に何らかの問題があり、その結果として胃腸の働きが低下して症状を引き起こします。
治らないと悩んでいる方も、ぜひ上記の対策を試してみてください。
当院での逆流性食道炎の治療を知りたい方は、コチラをご覧ください。
参考文献
1)機能性ディスペプシア(FD)ガイド|患者さんとご家族のためのガイド|日本消化器病学会ガイドライン
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