過敏性腸症候群でトイレに篭もってつらい日々が、今は大丈夫な理由
過敏性腸症候群の原因の一つに、ストレスの問題があります。
ストレス対策をしたり、性格や考え方を変えようとしても上手くいかず、悩んでいる方が少なくありません。
心と体は密接に関係しているため、心の問題だけを解決しようとするのではなく、生活習慣や食生活を改善することで、メンタルに良い影響を与えることができます。
当院に来院された患者さんに、過敏性腸症候群があまりにもつらく、心が疲れきってしまった。
生きているのも嫌になった、という女の子がいます。
現在は専門学校に通うIさんです。
Iさんが下痢や便秘を繰り返し、激しい腹痛に悩まされ始めたのは、今から4、5年程前のことだといいます。
病院で過敏性腸症候群と診断を受けました。
学校は休みがちになりながらも通っていましたが、高校に進学した頃から症状が悪化。
「毎日トイレに篭もって、出られない日々が続きました」
朝、時間通りに学校に登校することが難しくなりました。
また腹痛だけでなく、体のひどい怠さや、不安やイライラといった症状が出て、外出することも難しくなりました。
また症状は、五感にも影響を与え始めます。
「ひどい冷え性で夏場でもカイロが手放せないんです。服も寒さ対策が第一になってしまって、腹巻も外せないし、もっと自由に好きな服を着れたらなあっていつも思います」
「何を食べても、普通の食事が美味しいと思ったことがありませんでした」
数少なく美味しいと感じる甘いものに手が伸び、普段の食事のバランスが崩れてしまいました。
処方された薬を飲んだりしても改善が見られず、当院に来院する頃には、すでに長い年月が経っていました。
体も心も疲れ切ってしまっていました。
お母さんと一緒に来院した時には、精神的にも肉体的にも調子が悪く、話し方や姿勢などから、元気が失われた様子。
「ただ元気でいてさえくれたら良い」
と親御さんの言葉にも重みがあります。
問診や検査をしていくうちに、いくつかの問題点が明らかになりました。
一つ目は姿勢の問題です。
Iさんに普段の過ごし方を聞くと、スマホを見ている時間がすごく長いことが分かりました。
「ファッションのサイトとかアニメを見てると時間が過ぎてて、気付いたら何時間も経ってしまってることもあります」
特に長い日では、十時間も見ている日もあったといいます。
前屈みの姿勢が続くことで、首に非常に大きな負担がかかっていました。
これがめまいや頭痛といった症状の発症にも繋がっていました。
二つ目は内臓の問題です。
食事バランスに偏りがあったことで、腸の働きが悪くなっていました。
「何を食べても美味しくないんで、食べれる物を食べてるって感じでした」
お腹がすいたらお菓子を食べたりしていて、栄養バランスなどに気を配る余裕もありません。
けっして腸に良いとは言えない状況でした。
腸の状態の悪化は過敏性腸症候群だけでなく、強い冷え性や生理痛、胃もたれや胸焼けといった症状にも現れていました。
これらが重なり合って、骨格や内臓の状態が悪くなり、メンタルにも大きな影響を与えていました。
当院では骨格のバランスを整えたり、姿勢を良くする、内臓の状態を活発にするといった治療を進めます。
それに合わせて、食事内容についても改善してもらいました。
野菜の食べる量を増やし、お菓子を食べる頻度を減らしてもらうなど、できる範囲から良い方向へと変えてもらいます。
また、普段のスマホを持つ位置を高く保ってもらう、長時間の使用は避けるなど、首や姿勢の問題にも気を付けてもらいました。
治療が進むにつれて、Iさんのお腹の痛みは減り、トイレに駆け込むことがなくなっていきます。
外出への不安も減り、学校を休むこともなくなっていきました。
治療が進んで体調が良くなることで、日々の生活にも変化が生まれました。
以前は何を食べても同じと言っていたのが、
「最近はご飯が美味しくって、つい食べすぎちゃうんです」
とIさんは困ったように言います。
ですが、その表情は明るく、来院当初に感じた疲れ切った様子はありません。
「食事だけじゃなくって、娘のぐちゃぐちゃだった部屋も綺麗に片づけるようになってるんです」
とはお母さんの報告です。
体と心が落ち込むことで、何をするにも余裕がなくなっていたのでしょう。
Iさんは元気を取り戻したことで、色々なことに取り組むことができるようになりました。
将来に関しても考える余裕ができ、今は自分のやりたいことの専門学校に通う日々を送っています。
心は体と関係し合っています
不安やイライラ、自律神経の乱れといった症状があると、多くの人は考え方の問題やストレスといった心の問題を第一に考えます。
もちろん考え方を変えたり、ストレス対策なども効果的ですが、体からの影響で心に悪い影響を受けているケースもよくあります。
人の心と体は密接に関係していて、相互に影響を与え合っています。
そのため体の方を良くしていくことで、思考や考え方にも良い影響があります。
内臓を元気にする
内臓の中でも、特に腸には腸脳相関と言って、腸内環境が多くの神経・精神系疾患に良い影響を与えることが分かってきています。
幸福感やリラックスに関係する『GABA』や『セロトニン』といったホルモンは腸で作られています。(1)
内臓を元気にするために、当院では野菜や果物の食べる量を増やしてもらっています。
甘いものが欲しい時には、砂糖のような精製されたお菓子より、フルーツなどの自然な甘さに置き換えて食べてもらったり、食べる頻度を減らしてもらっています。
姿勢を良くする
普段の姿勢が悪くなると、ストレスを受けやすくなることも分かっています。(2)
これは姿勢が悪くなるために、神経の多くが通っている首に強い負担がかかるためです。
当院では、スマホや携帯ゲーム機を見るときには、
・極端な長時間は避ける
・低い位置でうつむくような姿勢にならない
・画面の位置はおよそ目の高さを保つ
ようにお伝えしています。
自分の考え方の癖や性格を変えようとしているのに、なかなか症状が良くならない。
そんな方は、まずは姿勢や食事の問題を取り組んでみてください。
参考文献
(1)Cryan JF, O'Riordan KJ, Cowan CSM, Sandhu KV, Bastiaanssen TFS, Boehme M, Codagnone MG, Cussotto S, Fulling C, Golubeva AV, Guzzetta KE, Jaggar M, Long-Smith CM, Lyte JM, Martin JA, Molinero-Perez A, Moloney G, Morelli E, Morillas E, O'Connor R, Cruz-Pereira JS, Peterson VL, Rea K, Ritz NL, Sherwin E, Spichak S, Teichman EM, van de Wouw M, Ventura-Silva AP, Wallace-Fitzsimons SE, Hyland N, Clarke G, Dinan TG. The Microbiota-Gut-Brain Axis. Physiol Rev. 2019 Oct 1;99(4):1877-2013. doi: 10.1152/physrev.00018.2018. PMID: 31460832.
(2)Harvey RH, Peper E, Mason L, Joy M. Effect of Posture Feedback Training on Health. Appl Psychophysiol Biofeedback. 2020 Jun;45(2):59-65. doi: 10.1007/s10484-020-09457-0. PMID: 32232605.
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